うつ徒然diary

鬱になって行く過程をせきららに書きました。その後、治療の為に自分なりにもがきます。

仲間②

「何だ、飲んでないじゃん。飲めよ!」

「すいません、もう十分です」

酒癖の悪い先輩の絡み酒が辛い。励ましてくれようとしているのだか-----

「お前元気そうじゃん。もっとやつれてボロボロになってるかと思ったよ!この後キャバクラ行こうぜ!」

「すいません。まだ病み上がりなもので」

「もう平気そうじゃん。行こうぜ!」

健常者、鬱の経験や知識がない人には、この病気の苦しさは伝わりにくい。僕もそうだった。残念ながら世間一般の見解ではこんなものなのだろう。丁重に何度も何度もお断りした。

二件目は寿司屋に行った。そこでかつての自分の上司と再会した。約9年ぶりだった。今では結婚して四人の子供がいるらしい。

「大変だったみたいだね」

「いえ、まぁ-----」

あまり会話も弾むわけもなく、裏に引っ込んで行った。

こんな人まで僕のやらかした事を知っている。もうこっちでは就職は厳しいかもしれない。

a.m.3:00頃に解散。皆に感謝の言葉を述べる。最後に一人一人とハグした。

「先輩は真面目で極端すぎる」

後輩が言う。その通りだ。

「皆も気をつけて。この病気は誰でもかかるらしいから」

悔しくなってそう返した。

仲間

山手線で向かう。今から皆に会う。そう考えると緊張してきた。新橋に近づくにつれ、気分が悪くなりたまらず大崎駅で降りてしまった。大きく深呼吸して落ち着かせる。やはりまだ治ってない。早すぎたか?しかし今日を逃すと皆と会えなくなるのではないか?そう自分に言い聞かせ電車に乗った。

SL広場の前の居酒屋に入る。そこにいたのはY君も含め3人。最初の職場でもよく飲んでいた仲間だった。皆笑顔で迎えてくれた。

「よく生きて帰ってきた!」

謝罪をして事の経緯を説明する。酒を飲みながら、笑われながら、僕は語っていく。皆ほろ酔い気分だったので、どれだけ伝わったのかは分からない。でも僕の為に言葉を選んで気を使ってくれていたのは分かった。[友は宝]月並みな言葉だが強く感じた。

「もっと早く相談してくれれば-----」

「それは分かるけど、同じ業界の狭い世界だから、どこで変な噂が伝わるのか分からないだろう?皆忙しいし、迷惑かけたくなかったんだ。」

友人だからこそ話せない事もある。

酒が進むにつれ大声で騒ぎ始める様になる。久しぶりの体育会系のノリ。僕はだんだん苦しくなる。その内鬱が襲ってきた。

再来

その後よく通っていた焼肉屋に向かう。仕事で疲れた時や、仲間との宴会の時によく使っていた店だった。そこで一人焼き肉をする。店員の入れ替わりが激しい店で、知った顔はいなかった。ビールとセンマイ刺しを注文した。
失踪中御飯を食べる時、後ろめたい気分がついてまわっていた。店員が忙しく働いている様子を見ると、かつての自分を思い出してしまうのだ。いくら飲んでも酔えなかった。
タン塩、ミノ、マルチョウ、シマチョウをゆっくり、思い出に浸りながら噛み締めた。
店を出て新宿に向かう。そこでかつて自分が泊まり歩いた場所を巡ってみた。あの頃は周りを見渡す余裕なんてなかった。キャッチの兄ちゃんや中国人観光客、キャバクラ嬢に黒服達、街はごったがえし、活気に溢れていた。歌舞伎町の無秩序さが、あの時の自分には心地良かったのだ。今訪れても不思議と嫌な気はしなかった。

その後ネットカフェに入り一息ついた。22:30頃、電話するか迷ったが世話になったY君に連絡をとる。新橋で会うことになった。

「あまり人を呼ばないでほしい。」

僕はそれだけ要求した。