提案
病院に行くにしても買い物にしても、田舎は交通手段に欠ける。雪国で徒歩と自転車はきつい。
「お前、車買ったら?」
「え?」
父親に突然言われる。
「俺も普段良く乗るし、いつまでも共有するわけにもいかないだろう?」
「まぁ、そうだけど・・・」
「田舎じゃ一人一台は当たり前だよ。行動範囲も広がるしな。引きこもってもしょうがない。何より外出するのも、お前の治療の為でもある。」
「治療の為・・・」
悪くない。どうせ一度捨てた金と命だ。開き直って色々やってみるのもいいかもしれない。金はまだある。
「わかった。買うよ」
「俺の会社の系列で車扱ってるから。維持費の安い中古の軽自動車でいいだろう?連絡しとくよ。」
「お願いします。」
家でダラダラ過ごすのも辛い。途方に暮れていた時の父親の提案だった。
無職で人生初の車を買う事になった。
大丈夫かな・・・
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