電話
ネットカフェで紹介された病院をググる。どの病院でも共通しているのが、保証人だった。親に連絡をとるしかないらしい。
行動するまで1週間葛藤した。どうにかして一人で入院する方法はないか?また馬鹿な事を考えている。電話するのが、本当に怖い。1月12日新宿駅東口の公衆電話に入った。
「もしもし」
「もしもし--」
沈黙。
「どちら様ですか?」
「あの、父さん----俺やけど」
「おお、おーおー」
驚く父親。
「あのさ、俺どうも心が---」
電話が切れる。そういえば小銭がなくて30円しか入れていない。どうかしている。すごい脇汗をかいていて、身体が冷える。
その後なぜか西口まで移動し、自動販売機でホットレモンを買い、暖をとった。もう一度公衆電話に入り、300円を入れる。コール1回ですぐに出た。
「もしもし」
「俺やけど、どうなってるかわかってるか?」
「分からん」
「とんでもない事したのは分かってる。とにかく、ごめんなさい」
「いいよ、いいよ。10月初めに東京に行って、
大体の事は聞いてるから。お前ケータイはどうした?」
「捨てた」
「そうか、家出人の届けも出したんだぞ」
「母さんにも心配かけてごめんと言っといてほしい」
「ああ、お前どこにいるの?」
「新宿」
「そうか、とにかく一度帰って来い」
「物事がよく考えられない状態で。入院したくて。でも保証人が必要みたいでさ---」
「とにかく一度帰って来い。金はあるのか?」
「大丈夫」
「そうか、とにかく帰って来い」
「ああ、そうだね」
電話が切れた。ちょうど300円使ったらしい。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。