告白
待合室には老若男女、大勢の患者がいた。
[皆病んでいるなぁ。僕だけじゃないんだ。]
不謹慎だが、そう思ってしまった。
受付を済ませ、待っている間に紙と鉛筆を渡される。
「ここに木を書いてください。」
紙の真ん中に小さな小さな木を書いた。先生に名前を呼ばれる。30代後半の眼鏡をかけた男の医者だった。自己紹介をされる。
「不眠症という事ですが、今日はどうされました?」
「何から話せば良いのか…」
沈黙の後、僕はポツリポツリと語りはじめた。
「自殺未遂をしました。」
医者は顔色も変えることなく、続きを促す。そこから堰を切ったかのように、話し続けた。医者は所々不明瞭な点を質問し、確認をとりながら、
「ほう」
「うんうん」
などの相づちを打つだけで、決めつけたり、反論しないので、話しやすい。一通り話し終え、医者は言う。
「今でもそういった事(自殺)は考えていますか?」
「毎日ですね。だから入院したいので、紹介状を書いてほしい。」
医者は承諾した。
「今は眠れていますね。」
「はい。薬にはできるだけ頼りたくないのですが、この躁鬱状態を何とかしたいです。」
「わかりました。1週間分の心を落ち着けるお薬を出しときます。このお薬は…」
説明が続く。
クリニックを出たのがp.m.5:00頃だった。面と向かって人と20分以上会話をした。三ヶ月半ぶりだった。
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