仲間②
「何だ、飲んでないじゃん。飲めよ!」
「すいません、もう十分です」
酒癖の悪い先輩の絡み酒が辛い。励ましてくれようとしているのだか-----
「お前元気そうじゃん。もっとやつれてボロボロになってるかと思ったよ!この後キャバクラ行こうぜ!」
「すいません。まだ病み上がりなもので」
「もう平気そうじゃん。行こうぜ!」
健常者、鬱の経験や知識がない人には、この病気の苦しさは伝わりにくい。僕もそうだった。残念ながら世間一般の見解ではこんなものなのだろう。丁重に何度も何度もお断りした。
二件目は寿司屋に行った。そこでかつての自分の上司と再会した。約9年ぶりだった。今では結婚して四人の子供がいるらしい。
「大変だったみたいだね」
「いえ、まぁ-----」
あまり会話も弾むわけもなく、裏に引っ込んで行った。
こんな人まで僕のやらかした事を知っている。もうこっちでは就職は厳しいかもしれない。
a.m.3:00頃に解散。皆に感謝の言葉を述べる。最後に一人一人とハグした。
「先輩は真面目で極端すぎる」
後輩が言う。その通りだ。
「皆も気をつけて。この病気は誰でもかかるらしいから」
悔しくなってそう返した。
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