報告
その後お風呂に入り、久しぶりのベッドに潜り込んだ。柔らかい。腰が痛くない。
久しぶりに話をして疲れた。言葉がなかなか出てこない。日記をつけていて本当に良かった。
会社の人間と話すのはつらい。先輩に電話をかける時、手が震えた。不在らしく朝折り返しの電話があり、母親が受けて事情を説明したらしい。これで会社のスタッフ全員に連絡が行くだろう。
「直ったら、またいつでも戻ってきてください。待ってますよ。」
先輩はそう言ったらしい。母親には、その言葉はしらじらしく聞こえたらしい。その前のやり取りから何か感じたらしく、
「なんか、あの人好きにはなれないわ。」
と言っていた。
先輩からしたら僕は疫病神でしかない。借金をして、自分の店を持つ。家族とスタッフを背負わなければならない。僕は役不足で実力もなかったのだ。その上この騒動。幸先悪すぎである。万が一、僕が死んでいたらもっと状況は悪くなっていただろう。業界の噂は早い。
もう一人心配してくれた後輩に連絡した。結婚を間近に控えていて、わざわざ結婚式に招待してくれていた。連絡先をメモしていた。
事の経緯と結婚式に出なかった事を詫びた。
「いいですよ、いいですよ。本当に無事で良かった。元気になったら遊びに来てください。」
ありがたい言葉だった。
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