失踪③
最近は倦怠感ですぐ横になってしまう。新聞も読まなくなり、TVもネットもしていない。腰が痛くなってきた。日付けも時間もわからず、この区切られた二畳程のスペースが自分の居場所であり、世界だ。
寒さが厳しい。体調の良い時に服をとりに、マンションに戻った事がある。東京にいる従兄弟の置き手紙があった。親戚にまで迷惑をかけている。急に窓から飛び降りたくなり、あわてて外に出た。
自分の部屋も人に接する事も何もかもが怖くなっていた。対人恐怖症か?頭がおかしい。
六本木と新橋の間を行ったり来たりして、生きている。人が怖くて電車に乗れないのでタクシーを使う。この間にも家賃、ケータイ代金、保険代、食事代、宿代と金は減っていく。廃人するのも金がかかる。
路上のホームレスと違い、雨風がしのげて飯代には困っていない。ぶつぶつと何か呟いているホームレスを見た。気持ちが分かる気がする。心の中がどうなっているのか、聞きたい。
自殺を夢見る。でも迷惑をかけるような自殺は嫌だ。矛盾している。
街をふらふら歩きまわって電車、高いビル、水辺、大型トラックなどを見るたび連想してしまう。
心が少し安定した頃、電車に乗って新宿に行く。ここで安いネットカフェを見付けた。
一ヶ月クーポンだともっと安い所もあるが気が進まなかった。毎日自殺を考えていて、何が一ヶ月クーポンだと自分に突っ込む。いつでも出ていける日割りがいい。
日雇い労働者になってこのまま失踪生活を続けるか?どこか住み込みで働くか?場所は東京か関西か北海道か沖縄か?生きるか死ぬか?堂々巡りしている。最近やっと考える力が戻ってきた。
でも本当にすべき事は実家に連絡をとり、全てを話し、病院に行き落ち着いたら、関係者に謝罪する事である。
それが人としてのスジだ。不義理にも程がある。少し正気になってきたが、とんでもない事をしている。終わっている。
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